日本残酷物語オブザデッド(仮)00

地方都市の郊外というのは、自動販売機と団地しかない。
そこからもう少し行くと、秘境か廃村かという光景も見る事ができる。
そういうところで育った私にとって朝は、薄いカーテン越しに気の抜けた日の光が透け、
庭を流れる川を兼ねた農業用水路の流れる音、
祖父や祖母がが何か作業している音、裏の林の梢が触れ合う音、名も知らぬ鳥や虫、そして田圃の蛙が出す鳴き声、音、
多様な音が四方八方から耳に入り込んでくるものだった。

しかし、その日はいつもと少し違って、ひんやりとした渇いた冷たさと、
壁紙と同じ青味がかった白い光が私の部屋を満たしていた。
何も音がしない朝だった。

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