道は混んでいた。
累々と並ぶ死体の山の山脈と、
誰も乗っていない車の渋滞。
この世の終りのような光景だった。
太郎は夢を見ているのだろうと思った。
あまり寝起きも良くなかったし、なぜか我が家が煙だらけだから。
きっとそのせいで、白昼夢でも見ているのだ。
そう独りごち
目の前の光景は夢であると疑うことなく、パチンコオアシスを目指した。
なんと残酷な夢なのだ。と太郎は思った。
時には知る顔も見かけた。ローソンの店員。近所に住む家主。いつもこの辺りの掃除をしているじいさん。
その全てが死体であったが、別段悲しい気持ちも湧かなかった。
知る顔といえどもひと言ふた言交わしたことがあるだけの他人である。
ざまあみろとさえ思った。
ローソンの店員はいつもおでんを頼むと面倒そうな顔をする。
弱気な太郎はそれが気になってこの間の冬は結局一度もおでんを食べられなかった。
家主は口うるさい。
このあいだ、訪ねてきた友人がほんのちょっと(ほんの2時間か3時間だ)アパートの前にチャリを停めておいたら、撤去された。きっと家主が電話したんだ。
掃除ばかりしているじいさんは、ただ、善人ぶった顔がキライだ。
太郎は自らの中にこんなに憎しみが眠っていたのかと、少し怖くなった。
信号は、赤が点滅していた。
これは夢なのだから、パチンコ屋に行ってもしょうがないんじゃないか?
そう気付くと、太郎はなにもすることが無くなって、ただその場に立ち止まり
辺りの光景をぼんやりと眺めた。
性交と街 シーズン1 第2話
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