瞳の奥の秘密(原題:El secreto de sus ojos) / 2009(Argentina) 127min
Dir:Juan José Campanella
快作!!!フアン・ホセ・カンパネラなる監督がアメドラで修行した効果的映像演出&劇的ストーリーの技巧が見事に成熟し複雑な構造を観客に混乱させることなく届けることに成功している。VFXも素晴らしい、映像も2000年代的でセンスに溢れている。
物語は現在と過去が同時に進行していく。よく知らないが1970年代のアルゼンチンは鬱屈した時代だったらしい。閉塞された時代と物語の核をなす事件の陰鬱さ、事件解決への光明の無さが混じりあい重い空気が過去の時代を包む。しかし乾いた空気に愛という湿った空気が混ざり込んできて物語を厚くする。過去にあっても現在にあってもリカルド・ダリンが演じる主人公のベンハミンの心は曇っている。その曇り具合は時代とも重なり何とも言えない寂寥感を生み出す。主人公だけではなく主要な登場人物の心のうちも丁寧に描かれている。みんな見事に心は曇りである。それぞれが心に抱える闇は絶妙のバランスをもってそれぞれの間に存在し、今にも張り裂けそうな緊張感を互いに見つけている。その裏にあるのは人間臭いものばかりである。愛であり嫉妬であり憎悪であり虚無であり業である。
この物語が動き出すのは一つのドラマが終わりを迎えた時である。世の中の9割の映画がそこで終わるであろうポイントを通過してからこの映画は動き出す。次々と伏線を回収しながらある結末に向かう。なんてよく練られた脚本だと感心する。
愛すべき脇役の死。ラストシーンとオープニングシーンの繋がり。名画の十分条件。
瞳の奥の秘密
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