あるXYの記録

 連絡先を交換したのも先生が聞いてきたからだし、どこかに遊びに行きたいと先生に言われてデートに誘ったわけだ。そしてごく自然にXYは思う。先生は俺のことを好いている。どの程度かは分からないが彼女が自分に向ける感情には肯定的な色が感じられる。こういう時のデートは楽だ。必要以上に頑張ることはぜずに無難にデートをこなすだけでも良い印象を与えることができるからだ。だからXYはデート当日をやけに落ち着いて迎えることができた。
 榛名山に絶景が見渡せる場所があるのでそこに行くことにした。親に買ってもらった軽自動車を走らせ先生の家まで迎えに行く。家の前でメールを打つとすぐに彼女は家から出てきた。彼女は小走りに近寄ってきて助手席に乗り込む。二人だけで会うのは今日が初めてだ。こんにちは、と声をかけると彼女は下を向いたまま小さな声で
 「こんにちは」
 と返してきた。
 榛名山までは1時間くらいで着くだろう。

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